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【最新版レビュー】Melodyne 5 Studioの使い方とアップグレード内容まとめ

投稿日:2020年7月9日 更新日:

どうも!

5月末に発表されたCelemonyのMelodyne 5、皆さんアップグレードしましたか?!

これまでのバージョンアップの中でも結構大きな改良となりましたね。

ヘビーユーザーの僕は発表と同時にアップグレードしまして、しばらく使って色々分かってきたので、早速レビューしていきたいと思います!

ただ、ゼロから書くとまたとんでもない量になってしまうので、今回は新たに追加された機能を中心に紹介していきます。

基本的な使い方は変わらないので、前のバージョンの記事ですが、こちらも合わせてお読みください!

Melodyne5の新機能紹介と使い方

というわけで、まず最初に紹介するのは、この変更になったツールパレットと新しく追加になったツールから。

見た目にも分かりやすかった音量ツールのデザインが変更になり、その中に更に2つのツールが増えました!

その名も「フェードツール」「歯擦音バランスツール」です。

この2つのツールが今回のアップグレードの目玉と言っても良い機能ではないでしょうかね。

それでは、早速1つずつ解説していきましょう!

フェードツール

まずはフェードツールからいきますが、こちらはその名の通り各ノートの頭とお尻にフェードを追加できるようになりました。

Melodyneで音源を読み込むとDAWイベント(リージョン)のフェード機能は効かなくなってしまうので、例えばCubaseのARAでの使用を前提にすると、イベントを独立ファイルとしてまとめ直すか、オートメーションで書く等をしなくてはいけませんでした。

また、個人的には歌詞や音程が同じセクション(1サビとラスサビ等)で、録音時には気付かなかったノイズやほんの少し声がかすれてしまっていた場合に、その部分だけを平気な方から移植するというのを稀にやるのですが、その際にどうしても音の繋がりが不自然な時があって、そういう時には一度イベントにまとめて該当箇所を切り貼りして、DAWのクロスフェードで繋げてからMelodyneで読み込み直すなんていうめちゃくちゃ面倒なことをしていたのが、このツールのおかげで全て解決しました!

こっちの方がフェードをかけながらタイミングの微調整もできるし、もう超待望の機能です!!

実例としては、このように該当箇所を削除して

別のセクションのノートをコピペして

繋ぎ目をクロスフェード

という感じです。

ツールの使い方ももの凄くシンプルで、フェードツールでノートの前後を左右に動かすだけですからね!

一度フェードを表示するとノート内に点が表示され、それを上下に動かせばフェードの形も変えられるのは気が利きまくってます。

これで更なる時短とクオリティアップ間違いなし!

歯擦音バランスツール

続いては歯擦音バランスツールについて。

ツールの紹介の前に、そもそも今回の5ではノートの表示方法が変わり、音程のないブレスや歯擦音が通常のノートとは区別されて表示されるようになったという改良点があります。

縦縞になっているのがブレスや歯擦音ですね。(ドングリみたい…w)

まずこの仕組み自体がめちゃくちゃ凄くて、ブレスや歯擦音に関しては音程を上下させても音の高さが変化しないんです!

前までは大きく動かすと電子音みたくなったり、音のザラつきが増したりしていたのですが、今回はそれが一切ありません。

もちろん歯擦音に続く母音部分の音程は変わってくれるため、音程を変えた場合もより自然な結果が得られるようになりました。

更に歯擦音部分に関しては、後に続く母音を伸ばしても歯擦音部分の長さは変わらないという気の利きよう!

逆に短くする場合には歯擦音部分も良い感じに短くなってくれるんだから驚きですよ!!

もう歯擦音だけを切るなんてことをしなくて良いんです!!!(興奮気味w)

そんな読み込みが強化された中での歯擦音バランスツールは、前回記事でも書いた手動ディエッサーを自動で認識してくれるようなもので、切り分けることなく、歯擦音部分だけを小さくしたり、強調するために母音部分を小さくできます。

しかもただの音量の上げ下げではなく、元をゼロとして上下に±100%という概念で調整できるのも面白いです。

※あえて極端な例。左のノートが+95%、右が-100%

歯擦音と母音のバランスを整えて、全体を音量ツールで上げ下げして更に微調整すれば良いということですね。

また、ブレスに関しては歯擦音とは違い自由に長さ調整できて、以前は不自然に長くしたりすると謎のチリチリデジタルノイズが入って使いものになりませんでしたが、5からはそれもめちゃくちゃ自然になりました!

普通はこんなことしないですが、こんなに伸ばしても「ハァ~~~~」って吸ってくれますw

先程も書いた通り音程的に上下させても音の高さは変わらないので、ハモリを作る際にブレスの音を気にしなくて良いですし、僕はメインからハモリを作る際ブレスはミュートする派なんですが(メインと重なってブレスが強調されてしまうため)、前までは次のノートと繋がっている場合は一度切り離してからミュートするという手間があったのが、5からはブレスが最初から切れているので、もう最高すぎ!

ちなみに、音程を変えたいのに歌い方のクセ等で歯擦音として読み込まれてしまった場合には、ノートアサインメントモード(レンチのマーク)に変更して、歯擦音レンジツールで該当のノートをダブルクリックすれば、これまで通りのノートに変わってくれます。

このように音程を変えたいノートが歯擦音で読まれてしまったら

レンチマークを押してノートアサインメントモードに入ると歯擦音レンジツールがあるので

それで該当ノートをダブルクリックすればOKです!

あと今のところ僕は出くわしていないですが、今の逆で歯擦音なのに歯擦音と認識されなかった場合にも、このツールでダブルクリックして左右にドラッグすると歯擦音の範囲を指定できて、歯擦音と認識させることもできます。

レベル調整マクロ機能

音量の流れから更にもう1つ紹介すると、音程とリズムのマクロの他に、レベル調整のマクロ機能が追加になりました。

こちらも%単位で、選択された音の平均音量から小さいと判定されたものを大きく、大きいと判定されたものを小さく出来ちゃいます。(選択しないと全体に効きます)

揃えたい箇所のノートを選択して

「小音量のノートを大音量に」のスライダーを100%にするだけ。

簡単すぎぃ!w

画像だと差が分かりづらいですが、これも前回書いた音量ツールでのオートメーションを自動でやってくれるような感じなので、もうただただ便利ですよね。

機能だけ見ると「じゃあ両方100%にしたら完全に平均化されて優勝じゃん!」と思いますが、実際にやってみるとノートの大きさを揃えても音程と帯域の問題もあり、聴感上では小さくなったところが物足りなく感じたり、大きくなったところもまだ足りないと感じたり、そんな簡単は話では無さそうです。

小さい方を持ち上げるのはかなり使えそうですが、大きいのを小さくするのはやはりアタックごと小さくなってしまうので、そこまで良い結果とは言えず、改めてコンプの必要性を感じさせられました。

近年は自動で音量調節してくれるプラグイン(Waves Vocal RiderやiZotope Nectar3など)も増えたので、ここに関しては好みの結果になるものを選ぶのが良いと思います。

歌ではなくアタックの安定している楽器の音量を揃えるには両方動かすだけで良い結果が得られるので、是非試してみてください。

コード検出機能

ツールに付随する新機能は以上のような感じですが、その他にもコード検出機能なるものが追加となりました。

以前からスケールの自動検出はされていたものの、今回からは更にコードまで検出してくれます。

2MIXの音源で検出してみても、高い精度とは言えませんが、まぁまぁ正しく検出してくれますし、パラデータでピアノやギター等の和音楽器を読み込ませるとかなりの精度で検出してくれましたね。

※2MIXの解析

※ピアノとベースでの解析とCubaseのコードトラックとの比較

まぁここに関しては、そもそも和音をどう捉えるかという要素も絡んでくるため、完璧にするのはかなり難しいとは思いますが、補助的な感じには十分使えるのではないかなと。

また、Cubaseではまだ実装されていませんが、コードトラックを有するDAWであればMelodyneで検出したコードをDAW側に適用させたり、その逆にコードトラックに打ち込んだコードをMelodyneのコードレーンに表示することができるようになるようです。

先日、こちらも5が発表となったStudio Oneでは4.6.2でこの機能が使えるようになったようなことをCelemonyさんがTwitterで言っていましたが、Cubaseも間も無くという感じでしょうか。

コードトラックにコードを打ち込むのって何気に面倒なので、コードトラックをよく使う作曲家にはかなり有難い連携ですよね!

しかもこのコード検出を使うと何が便利かって、スケール表示の時と同様、コードトーン以外の音をグレーアウトして表示できるので、視覚的にもかなり見やすいですし、ピッチのマクロ機能や補正の際に、コードトーン内でしか動かないようにすれば、楽器の補正はもちろん、ハモリを作る際にも活用できそうです。

※ト音記号マークを右クリックして「和音」を選択するだけ

アルゴリズムの追加と機能向上

それ以外にも検出する際のアルゴリズムとして「パーカッシブ(ピッチ)」というのが加わり、808やタブラといった音程感のあるパーカッションサウンドを読み込んだ際に今までのような一本線で読み込まれるのではなく、音程に分かれて読み込まれるようになりました。

言葉だけ聞くと「どういうこと?」と思うかもしれませんが、要はそういった音程のあるパーカッションのピッチもキーに合わせて揃えてみては?ということらしいです。

あんまり考えたことなかったですが、確かにそれは面白そうですよね。より濁りの少ないアンサンブルになるのかしら?

またボーカル等を読み込む際のメロディックのアルゴリズムも、より人間の聴感に近い検出になったとのことで、1つのノートでも中の波形がしゃくっていたり、揺れている場合に、これまでだとピッチ補正マクロ(ダブルクリック)でノートをセンターにもってきても、中の波形が山なりになっていてちょっと高いと感じたりすることってあったと思いますが、それが今回はその音の一番聴こえる主成分が検出されてセンタリングされるように変わったため、ピッチ補正マクロだけでかなり良い感じになるとのことです。

試してみましたが、確かに前より良くなってる気がします。プラシーボ効果かもしれませんがw(ほんとにちゃんと良くなってますw)

これも前に紹介した時短テクの精度が更に高くなるということなので、ざっくり補正したい時に頼もしい機能向上と言えますね。

あと最後の最後にもう1つ、もの凄く小さなことですが、左下にこっそりノートの情報が出るようになってるのも超有難いなって思いました!

補正をかけた後で何か違和感あるなって思った時に、このノートに対してどのような補正を加えたかが一発で分かるので、いちいちツールを切り替えて確認する手間が省けるだけで全然違いますからね。

さいごに

というわけで、Melodyne 5のことすっかり分かっちゃいましたねー。

まじで今回は神アプデと言っても良いんじゃないでしょうか!?

僕には有り難さしかなかったので、アップグレードして大正解でした!

え?この記事を読んだのにまだ4のままですって?

さっさと上げちゃいなよー!!w

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パッケージ版は少し値段が高い場合があるので基本ダウンロード版の方がオススメですが、時期や納品のタイミングによっても価格が変動するため、いくつかの販売サイトをご確認ください。(ダウンロード版は上記Rock oN Companyにて取り扱いがあります)

ただ、アップグレードに関しては代理店での取り扱いがないので、公式サイトから購入してください。
Melodyne 5 アップデートとアップグレード

ちなみに、5に上げてから以前のバージョンで補正していたMelodyneを開くと、以下のようなアラートが出て、保存してしまうと、4では開けなくなってしまうようなので、誰かと共有しているファイル等の場合は、プロジェクトごと複製して、前バージョンも一応残しておきましょう。(そもそも4と5が共存できないっぽいので自分だけならあまり関係はないと思いますが)

現代の日本の音楽においてピッチ補正はなくてはならないくらいのものになっている気がするので、今後の進化にも期待しかありませんね!

是非皆さんも卓越した補正技術を身につけて素晴らしい音楽を作ってください!!

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