2月に入りもう間も無く確定申告の時期がやってきますね!
お金のことって凄く大切ですが、その分ややこしいし、ちゃんと学ぶ機会もあまりないので、なんとなくになりがち…。
かく言う僕もその一人ですが、実はそれで損していることにも気づかないままだったりするのは、国の思う壺なわけです。
今回はその中でも報酬を得るための入口部分でもある請求書に関して、改めて勉強し直して色々と見えてくることがあったので、備忘録としても書きまとめてみようと思います。
ただ最初に言っておきますが、僕も素人なので、何か間違っていることがあればTwitterにでもご意見くださいませ。
目次
どうやって請求してる?
まずはじめに、皆さん、普段どのような請求書を出していますか?
調べれば誰かが配布しているテンプレート等が山ほど出てくるので、そういった雛形を参考にしつつ作成している人がほとんどかと思いますが、その形式に疑問を持たずに使っている人が多い気がしています。(僕もそうだったので)
実際に先日アンケートを取った際も、源泉を記載せずに請求書を出すという人が一番多かったですし(めちゃくちゃ回答数少なかったですがw)、消費税やら源泉やら、よく分からないけど3万円くれるって言うなら、3万円!!って書いて出しますよね。
相手が会社の場合なら経理や税理士がいるでしょうし、そうしても基本的に法的に問題になることはありませんが、その場合だと計算方法を先方に委ねることになるので、本当は満額払うつもりだったのに、都合よく値引きをされてしまっていたり、逆にこっちが知らないばっかりに双方が損してしまうような請求書を提出してしまっているケースも考えられます。
まぁ損といっても報酬金額が数万から数十万円あたりで数百から数千円の話ですが、フリーランスで生計を立てている方となると年間ではかなりの額が変わってくるので、知っておいて絶対に損はないわけです。
そうならないためにも、仕組みを理解した上で、自らきっちり選択をして、正しい請求書を出せるようになりましょう!
5つの請求パターン
そもそも請求には5つのパターンがあるのをご存知でしょうか?
これは先方から報酬額をどう伝えられるかによっても変わりますが、例えば「報酬は3万円でお願いします」と言われたとします。
この場合の5つの請求方法は
①税込30,000円だと源泉-3,063円で26937円の振込
②税抜27,273円だと源泉-2,784円、消費税2,727円で27,216円の振込
③税抜30,000円だと源泉-3,063円、消費税3,000円で29937円の振込
④税抜30,063円だと源泉-3,069円、消費税3,006円で30,000円の振込
⑤税抜33,069円だと源泉-3,376円、消費税3,307円で33,000円の振込
になります。
いかがでしょうか?
振り込まれる金額に少しずつ差が出ていますよね。
これらの違いをしっかり把握していないと損してしまう可能性もあるので、理解した上で請求書を作成し、やりとりをするのが良いと思います。
金額だけ見ると振込金額の一番多いものに目がくらみそうですが、勝手にそのような請求をすると信用を失いかねないので、焦りは禁物です!
1パターンずつ内容を確認して、正しい請求方法を学んでいきましょう。
請求パターン①
まず一番やってしまいがちな①。
これは②と似ているようで微妙に違います。
何が違うのかというと、源泉の金額を税込の金額から算出しているか、税抜の金額で算出しているかの違いになります。
国税庁のページにもこのような記載がある通り
請求書等に報酬・料金等の金額と消費税等の額とが明確に区分されている場合には、消費税等の額を除いた報酬・料金等の金額のみを源泉徴収の対象としても差し支えありません。
国税庁 – No.6929 消費税等と源泉所得税及び復興特別所得税
源泉を税込にかけるか税抜にかけるかは、どうちらでも良いということになっています。
どちらでも良いのであれば少なくなる方が良いに決まっているので、税抜金額を請求書に明記し、税抜額で源泉計算したものがベストということになります。
これをわざわざ税抜を記載せずに税込から算出した源泉額を記載してしまうと無駄に多く源泉を支払うことになってしまうので、気をつけなければなりません!
このような間違いをしないためにも、税抜金額を明記し、そこから源泉額を算出したものが②となります。
請求パターン②
この②か、次の③が一番一般的で無難な請求方法と言えるので、基本的にはこの形で請求できるフォーマットを準備しておくと良いと思います。
これは報酬3万円を税込3万円と捉えるが、①とは違って源泉に関しては一度税抜で計算し、そこに後から税込3万円になるように消費税を乗せて合計額を請求するという計算方法になります。
まぁ分かってくれている企業であれば何も記載せずにただ3万円!って書いた請求書を出しても振り込まれる際には、このように計算されて振り込まれることが一番多いとは思いますが、企業としては①も②も合計で払う金額は変わらないので、①のパターンだと請求側がただただ損をするだけなのです。
請求パターン③
こちらは提示金額を税抜と捉えるパターン。
個人事業主の場合は年間1000万円以上売り上げていない限り、消費税の納税は免税となるので、単純にその分も収益として換算されます。
事前に税込3万円でと言われていれば別ですが、そうでないのであれば、源泉とは違って請求額に消費税を乗せるのは割と一般的です。
一応昨年の増税のタイミングでお店等でも総額(税込)表示の義務付けなんかが始まったりしているので、今後は基本的に提示される金額は税込と捉える時代になるかもしれませんが、始まったばかりですし、まだまだこちらが常識という人も多いと思います。
請求書に消費税を記載せずに出してしまうと、そのつもりじゃなくても税込として解釈する方が企業にとっては安上がりで、そのように計算されて支払われることが多く、これまで何も書かずに請求していた人は損してしまっていた可能性もあります。
なので今後はいくらでやってもらえますか?と事前に尋ねられた場合には、3万円で!と思っても「33,000円(税込)になります」と伝えるのが正しいので、消費税分を上乗せで欲しい人はちゃんとそのように伝えましょう。
ただ、その場合にも必ず税抜金額で源泉の計算を行い、それに消費税を乗せて請求するのをお忘れなく!
請求パターン④
続いては言われた報酬額がそのまま振り込まれるパターンです。
これは源泉が引かれていないのではなく、向こう側で源泉分を上乗せしてぴったり報酬額になるように計算してくれているということになります。
中にはよく分かっていなくて源泉を納めていない会社もあるようですが、それは違法ですし、その場合には確定申告の際にこちら側で引かれるはずです。
もちろん仕事の内容によっては源泉徴収されない仕事というものも存在しますが、ミュージシャンの場合はそっちの方が稀だと思うので、基本的にはこのような仕組みになっていると思って間違いないでしょう。
このように言われた金額をそのまま振り込んでもらうことを手取契約と言うのですが、クリエーターにとってはこの方が報酬が多くて良いわけです。
これを知ると、金額を提示された際にどちらとも言われてないから源泉を上乗せして請求してしまおう!という人が結構いるようですが、今後のやりとりと信用にかかわるのであまり良い方法ではないかもしれません。
そうしたい場合には報酬を提示された段階か、その後のやりとりの中で、報酬額は手取りかということを確認するのが一番良いと思います。
まぁ仕事を振ってくれる人がこういったことを理解しているかによっても違うので、どういう意味か伝わらないこともあるんですけどね。
基本的に源泉はお金をもらった側が払うものを企業が代わりに手続きしてくれているだけなので、報酬3万円に対して更に源泉分を上乗せしてもらうというのは少し意味が変わってくるんですが、そうしてくれる企業も普通にあるので、見極めが難しいところです。
上乗せでくれるならその方が良いですもんね!
僕個人的な考えとしては、事前に聞くのが無粋な関係であれば、初回に細かい記載をしない請求書を出してみて、振り込まれた金額が②であれば次から②で、④であれば次から④というようにするのが無駄な勘ぐりもなく良いのかなと思ったりもしています。(わざわざ消費税を上乗せしてくれるような企業はないはず)
そんなせめぎ合いをするのが良いのかは何とも言えませんが、基本的には先ほども書いたように提示された金額から源泉分を引いたものというのが一般的なようなので、②のパターンが無難なことは覚えておきましょう。
ちなみに音楽業界は昔から3並びや取っ払い(現場で現金払い)が当たり前というような風潮があって、言わずもがな手取契約っぽい感じもあるんですが、他の業界では伝えた金額から源泉を引くのが当たり前だったり、業種や会社の規模感なども関わっていそうで一概には言えません。
あと、②③のパターンの方は振込額も変わるので税抜に源泉が普通なんですが、このパターンになった途端に計算が複雑なせいか税込に源泉で払われていることが多いので、企業側もどういう経理にしているか見直した方が良い気がします。
振込額は変わらないので請求者側には関係ないですが、企業から出ていくお金としては税込計算の方がもちろん多くなりますからね。
<例>
・税込33,411円だと源泉-3,411円で30,000円の振込
・税抜30,063円だと源泉-3,069円、消費税3,006円で30,000円の振込
企業の人がこのページに辿り着くことはないと思うので、いらん心配かもですが…。
請求パターン⑤
請求者側が一番多くもらえるのがこの⑤。
3万円に源泉と消費税を上乗せして、税込で33,000円ぴったりもらえる増し増しパターンですw
③でも書いた通り今後は税込でのやりとりが当たり前になり、最初に提示しない限りこのパターンは減ってくるかもしれませんが、源泉の上乗せ同様、まだ使われる可能性は大いにあります。
相手の意図しない請求書を送ってしまっても「源泉分は上乗せせずに再度送り直してくれ」と言われるくらいの手間なので、であれば一度増し増しで出してみるのは有りだと僕の恩師は言っていましたw
しかもそれで通っちゃうことも結構あるんだとかww
でも④のところでも書いたようにあまり良い手段とは言えません。
まぁそれもこれも業種と会社によると思いますけども…。
というわけで、ここまで5つのパターンをご覧いただいて、とにかく見えてくるのは、源泉を税抜計算することも合わせて
請求書に税抜額&消費税の項目は絶対に必要
ということです!
そこだけはしっかり押さえておきましょう。
請求書のフォーマット
さて、ここまでで請求の仕組み、どうするのが良いかは分かったと思うので、そのポイントを完璧に押さえた請求書を作っていきましょう!
ただ、いちいち解説が面倒なので、よければ僕が作ったものを使ってくださーいw
ダウンロードはコチラ!
※Dropboxのプレビューページに飛びます。
開いていただければ分かりますが、自動計算表付で、提示された報酬に合わせて税抜で源泉を引いたものと、手取契約の計算表をそれぞれ用意してあります。

請求書の方も関数が打ってあるので、単価と数量を入力するだけで合計額まで自動入力される優れものです。
これまでの使い慣れた請求書をお持ちの方も計算機代わりにお使いいただけると!
ちなみにデータ内にも書いておきましたが、小数点を切り捨てにしている関係で、金額によって±1円の誤差が出てしまうので、請求額や税込額が合わない時は請求書に単価を入力する際に±1円して調整してください。(請求書の方でも同じようにズレる可能性有りです)
もらえる金額や先方が払う金額が変わるわけではないので、安心していただいて大丈夫です。
さいごに
長々書いてきましたが、これで請求書のことをかなり理解出来たのではないでしょうか?!
知らなかっただけで今まで数百円単位でずっと損してたかもしれない…という声が聞こえてきそうですw
細かいことを何も書かない請求書を出しても正しく計算してくれる会社がほとんどだとは思いますが、全てを向こうに委ねるのではなく、今後は報酬金額が税込なのか、手取りなのか、明確にして取引できると良いかもしれませんよね。
これからも正しい請求で、楽しい個人事業を!!w