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【やめよう】iPhoneのバッテリーを自分で交換しても良い?|注意点や難易度・費用等まとめ

投稿日:2025年1月21日 更新日:

さて、冒頭から長い言い訳でスタートしていますがw、本日は久しぶりの検証企画ということで、「iPhoneのバッテリー交換」についてまとめてみようと思います!

Apple好きが高じてこれまでもMacのHDDやSSDを換装してみたり、記事にはしていませんがMacBookのバッテリー交換やCPUのリフロー、iMacとMac Proを全バラしして元に戻すなんていうことを何度か行っていて(リフロー以外は成功)、そろそろiPhoneも自分でバッテリー交換くらいできるかもなんて思っていたところに状態の良いドナーが手に入ったこともあって、「iPhoneのバッテリーは自分で安く交換しちゃおう!」なんて記事を書こうと思っていたのですが、記事にする前に色々調べたところ、冒頭のタイトル下にも書いた通り、結果的には「自分でバッテリー交換をするべきではない」というところに方向転換することなった前提がありまして、そのままお蔵入りにしてしまおうとも思ったんですが、調べて出てくる記事が微妙に誤解のある内容だったりすることもあり、正しい知識を広めるという目的も兼ねてまとめることにしました。

なので、まさに今僕と同じように自身でのバッテリー交換を目論んでいて、この記事に辿り着いた方は、こちらを全て読んだ上で判断いただけたら幸いです。

かなり長いですが今回も最後までお付き合いください!

そもそも自分でバッテリー交換をしても良いの?

まず最初のテーマとして、iPhoneのバッテリーを自分で交換しても良いのかというと

そう、交換すること自体が何かの法に触れるとかそういったことはないため、ただ純粋に「交換しても良いか」と言えば、交換しても大丈夫です。

とは言え、もちろんAppleCare等の公式の保証が受けられなくなるとか、交換の仕方や使用パーツによってはその後Appleの修理サービスが受けられなくなるといったデメリットがあることも忘れてはいけません。

かと思えば本国アメリカでは、Apple公式にて「セルフサービス修理プログラム」(Self Service Repair)なる仕組みが2022年からスタートしていて、個人でもAppleから純正パーツを購入でき、修理することが推奨されていて、その動きは現在世界30カ国以上にまで広がっている背景もあり、一概に「自分で修理すること=悪」ではないわけです。

そりゃそれが出来る方が安いし、エコですからね。

むしろ「自分の所有物は自分で修理する権利がある」というのが海外の考えという感じで、言われてみればその通りだよなと。

そういったサービスのスタートや海外の人の発信を見て、いつか日本でもセルフサービス修理プログラムが始まるかもしれないし、その時に備えて今から修理の仕方を学んでおこうと思ったのもきっかけの1つだったというわけです。

日本に立ちはだかる『技適』の壁

そんな経緯で調べていくうちに分かったのが冒頭にも記載した「技適」(技術基準適合証明)についてで、当サイトでも海外のBluetooth製品を扱った際に何度か話題にしましたが、日本で無線通信機器を使う場合には、製品毎にこの技術基準適合証明(もしくは技術基準適合認定)を必ず取得し、その証として「技適マーク」なるものを製品や化粧箱等に必ず印字しなければいけないというルールになっています。

※iPhoneの場合、設定内の「法律に基づく情報および認証」というページに記載があります。

そしてその技適というのは総務省に届出が出されて認証された状態に付与されるもので、それを第三者が修理や改造によって手を加えた場合、内部設計が変わってしまうことから技適が失効してしまい、その状態で通信を行うと、電波法違反になる恐れがあるということなんです。

つまり、基本的に誰がバッテリー交換しようが問題ないですが、その機器を用いて通信を行う(電波を出す)のがNGというのが正しい理解というわけですね。

そんなルールがあることもあり、日本にAppleのセルフサービス修理プログラムがくることはまずないだろうというのもサービススタート当初から言われているようでした。

…悲しすぎる。。

でも技適があることによって様々な機器が安全に使えていることは間違いないので、ただルールを緩和すれば良いわけでもないですし、なかなか難しい問題だと思います。

『登録修理業者制度』の誕生

「じゃあiPhoneのバッテリー交換てApple Storeでやるしかないの?それだと交換費用が高すぎるんだけど!!」

スマホの爆発的な普及によってそういった問題に直面したユーザーの声に応える形で総務省が導入したのが「登録修理業者制度」で、スマホ修理等を専門に行う会社や個人事業者が申請を行うことで、総務省のお墨付きで修理を行うことが可能になり、その登録修理業者が修理をした場合には技適が無効になることはないという制度がスタートしました。

登録修理業者制度
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/repairer

2025年現在では96の業者が登録されているため、街で見かけるiPhone修理を謳っているお店のほとんどは登録されている程とも言え、Apple Storeでは高いけど自分でやると技適が無効になってしまう問題を解決したわけです。

「なら結局そういうお店に頼むのが一番コスパが良くて安心ってことね!」

ということかと言うと…、実はそうでもありません。

登録修理業者制度の仕組み

この登録修理業者制度、申請すれば個人でもなれるのであれば自分でも申請できるのかなと詳しく調べてみると、可能ではあるけどハードルが高いことが分かりました。

主な流れとしては

  1. 修理手順を全て画像と共に資料にまとめる
  2. 修理した機器が電波法に触れていないか検査機関に出して測定(試験)する
  3. 測定の結果や使用した機器等の詳細を資料にまとめる
  4. 申請書類と共に全て提出(申請手数料50,700円)

という感じです。

簡単に言えば、自分で修理した機器の電波を測定をして問題ないなら登録業者として認めるよ、ということみたいですね。

端的にまとめると簡単そうに見えるかもですが、修理手順をまとめるのも大変ですし、その試験についてはどこに頼むかにもよりますが、1台あたり10〜20万円かかるとのことなので、決して安くはありません。

しかも恐ろしいのは、これらはモデル毎に取得する必要があるということで、つまりiPhone 16シリーズの修理を請け負うなら、iPhone 16、iPhone 16 Plus、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Maxという4モデル分の試験と申請が必要になるんです。

また修理箇所においても分類が分かれているため、例えばバッテリー交換だけでなくディスプレイやカメラ、ボタン等を修理する場合にはそれぞれの修理工程を全てまとめる必要がありますからね。

仮に現行で多く使われているであろうiPhone 12〜16シリーズまで全て取得しようと思ったら、途方もない資料の数と費用になることが容易に想像できるでしょう。

そんなことを知って「街の修理業者さんはこんな面倒な申請を新しい機種が出る度にやってるのか…」と思って調べてみると

という現状が分かってしまいました。

勝手に名前を出して申し訳ないですが、個人的に業界最大手(店舗数が多い印象)だと思っていた「アイサポ」ですらiPhone 5〜iPhone 12シリーズまでの申請という感じで、それでも充分凄いんですけど、例えばiPhone 13シリーズ以上の人がアイサポで修理した場合には、法令上では技適が無効な状態になってしまうわけですからね。

※こちらがアイサポの登録機種。(2025年1月現在)モデル名なので分かりづらいですが、それぞれ検索すれば何の機種か分かります。

中にはめちゃくちゃ古いiPhone 6たった1台だけを登録して、「当店は総務省登録修理業者です」みたいなことを大々的に謳っているようなお店もあって、嘘ではないけど、そういうところが「バッテリー交換は自分でしてはいけません!うちのような登録修理業者に頼みましょう」みたいな記事を書いているのは、また少し違うような気もしたり、そういったことが前項で伝えた「登録修理業者に頼めば安心というわけではない」ということの理由です。

総務省の見解

そんな、どこの業者がどの機種のどの部分が修理可能かなんていう情報は一般ユーザーは知ることもなければ、調べれば分かるもののお店自体が店頭やホームページで開示しているわけでもなく、知らぬ間に登録されていない機種が修理された場合、厳密に言えば電波法上グレーな状態で使用することになってしまうことについて、自分の憶測だけでは信憑生が低いと思ったので、専門機関である総務省の関東総合通信局と基盤局に確認してみたところ、その見解は…

登録修理業者も申請登録していない機器のバッテリー交換や修理をした場合、技適は失効します。

とのことでした。
※あくまで電話口の担当の方の見解のため、総務省の総意というわけではありません。

「え、でもどこの業者が何の機種を登録していて、どの区分を修理可能かはユーザーには分かりませんよね?知らないうちに技適が無効になっていてその機器を使用していたらユーザー側が電波法違反になるんですか??」

と聞いてみると、とてもバツが悪そうに「まぁ厳密にはそうとも言えるし、ただその場合には登録修理業者の責任もあるため、いきなりユーザーが罰せられることはありませんし…」と、ゴニョゴニョっとされていましたw

また、僕としてはもしかしたら1機種でも登録していれば登録修理業者になれることは間違いないので、本来は全機種登録するのが望ましいけど、登録修理業者による修理であれば技適が無効になるという点においては大目に見てもらえるみたいな措置があるのかもと思ったのですが、そこはきっぱり

と仰っておりました。

こうなるとユーザーの皆さんはお店に持っていく前に自分の機種が登録されているかどうか確認してから持っていくということが必要になりますよね。

登録修理業者リスト検索
https://www.tele.soumu.go.jp/nintei/SearchServlet?pageID=ss01
※こちらから検索・閲覧が可能です。

なお、個人的な疑問として、どのお店もiPhoneばかりの登録で同じApple製品でもiPadやMacの登録がないのはなぜか、というのも聞いてみると、そもそもこの登録修理業者制度自体が「特別特定無線設備」(主にスマートフォン等の基地局と通信する携帯電話回線機器)を対象に作られた制度のため、タブレットやパソコンは登録ができないからとのことでした。

ただ全てではなく、セルラーモデルのiPadについては特別特定無線設備の対象のようで、実際に登録している業者も少ないもののあるらしいです。

さらに言うと、無線設備全般の構造要件として「容易に開けることができないこと」という要件があるため、バッテリーやメモリの取り外しが可能な古いモデルのMacについては問題ないということも分かりました。

まぁそれは裏を返すと、iPadや近年のMacにおいては誰が何をしても技適が無効になってしまうということですけどね。

屁理屈を言えば「MacBookなんて裏面がネジでとまっているだけで、あれは容易に開けられるものでしょう」という主張もできるかもですが、これもちゃんとガイドラインがあって、「筐体が外殻ケースでネジ止めされている場合は、特別な工具等を使用しない限り開閉できないネジが使用されているもの」という記載があるので、特殊ネジ(P5ペンタローブ)が使用されているMacBookはNGということになります。

「モジュール状の特定無線設備」の技術基準適合証明制度上の取扱に関するガイドライン
https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/equ/tech/faq/050606.pdf
※詳細はこちらでご確認ください。

逆にそうではない自作PCの類やWindows系のノートパソコンにおいては、マザーボードや無線LANカードそのものに技適が取られているため、それ自体を改造してはいけませんが、周りのパーツをどうしようと何ら問題ないというわけですね。(全てではないですが、Windowsのラップトップは大概プラスドライバーで開けられるので)

そんな技適の仕組みやルールが詳しく分かったところで、一番気になることとして、技適が無効になってしまった機器を使っている僕らは罰せられるかというと…

ということでした。

要は、技適は必ず必要なものなので、それがない、もしくは失効している機器は使えないため、それを使っているということであれば「やめてください」という回答になるけど、実際にその機器が他の電波を妨害するような機器であるかは調べてみないと分からないし、恐らくバッテリーやその他パーツを交換したくらいでは電波に影響は及ばないため、罰則には至らないだろうという見解なわけですね。

総務省のQ&Aページでも必ず「電波法違反の”恐れ”がある」となっているのは、そういったニュアンスを含んでいるんだと思います。

じゃあ使っても良いじゃんとは僕も言えませんが、もしこれまで修理業者で直してもらった人で、今更調べてみたら当該モデルの登録がされていない業者だった場合はどうすれば良いのか、という問いには言葉を濁されるだけで答えてもらえなかったので、さすがに「使うな」ということではないみたいです。(あくまで個人の見解です)

ただ、見て見ぬ振りというような状況は決して良くないし、せっかく電波法を定めている意味が薄れてしまうので、登録修理業者にも改めて周知・徹底していかなくてはいけないし、ユーザーの皆さんにもそういった仕組みを発信していかなくてはいけないですね、ということでした。

そんな今回と似たような見解での記事が過去にまとめられていて、しかもこちらは総務省に正式に取材されて書かれているので、僕のものよりもっと信憑性があるため気になる方は是非お読みください。

「技適」なしスマホを使うと罰せられる? 覚えておきたい技適の話
https://www.itmedia.co.jp/news/spv/1803/20/news035.html

結局どうすれば良いの?

そういった事実も分かり、結局どうすれば良いのか。

その答えは1つです。

これに限ります。(なんか元も子もない結論ですが…w)

「Apple」か「Apple正規サービスプロバイダ」といわれる店舗、もしくは「キャリアショップ」(ドコモ・au・ソフトバンク)に持っていけばどこでも「メーカー修理扱い」になるため、登録修理業者である必要もなければ、どんな機種やモデルでも技適が失効することもありません。

その分費用は少しお高めですが、全て純正部品での修理になりますし、ここまで伝えた不安材料は一切なく、加入している人はAppleCare+も使えますからね。

ちなみに現在Apple正規サービスプロバイダになっている会社は以下の通りです。(2025年1月時点)

  • カメラのキタムラ(58店舗)
  • ビックカメラ(9店舗)
  • クイックガレージ(8店舗)

※関連店舗全てではなく、一部の店舗が正規サービスプロバイダとして営業している形です。

キャリアショップについてはご自身が契約されている回線に関連したキャリアが良いと思いますが、キャリアショップの場合は預かり修理で、1〜2週間かかる可能性があるので注意してください。(預けている間は代替機を使用できます)

その点AppleやApple正規サービスプロバイダの場合は、当日中に修理が可能なのがメリットとも言えるわけですね。(パーツの在庫等がない場合は当日にできない場合もあります)

このようにApple Store以外にも全国にこれだけの公式修理店舗があるので、都心にお住まいの人であればかなり利用しやすいと思います。

それか多少面倒でもとにかく安くやってもらうんだという人は、先程の修理業者検索から自分の機種を登録している業者を見つけて、そこにお願いするのが良いのかなと。

ただ、iPhone 13シリーズまでを登録している業者は「アシュリオン・ジャパン株式会社」という1社のみで、iPhone 12シリーズまでだとそのアシュリオン・ジャパンと、前述したアイサポを運営する「株式会社ギア」という2社のみのため、iPhone 14シリーズ以上の人はどちらにせよこちらの選択肢は選べないということになります。

また、アシュリオン・ジャパン株式会社は僕も聞いたことがなかったのですが、全世界で運営をしている会社の日本支部のようで、日本全国に3店舗、そのうち港区の本社では修理受付をしていなさそうなため、残りは目黒のドコモショップと沖縄那覇のドコモショップという2店舗のみとなるため、利用できる人は限られ、そうなると実質アイサポに頼るしかないので、現状ではiPhone 12シリーズまでしか修理することはできず、それ以上の世代のモデルをお使い方は必然的にAppleで修理するしかないことも把握しておきましょう。

もちろん他の会社含めこれから新たな機種が登録される可能性はあるので、あくまで現時点での話ですけどね。

自分でiPhoneのバッテリー交換することは可能なのか

iPhone本体と交換バッテリーを準備する

さて、結論も分かったところで、ここからは僕の趣味、そして検証の時間です。

散々語ってきたiPhoneのバッテリー交換ってどのくらい難易度が高いものなのか、多少パソコンを直してきた自分にもできるものなのか、試してみないと分からないということで、バッテリーを自分で交換していきましょう!

あれだけ語っておいて何を言っているんだコイツは思う方もいるでしょうが、関係ありません!!w

なんたって交換するだけなら何の法令にも引っ掛かりませんからね。

要はその機種を使わなければ良いんです!(開き直り)

そんなわけで今回用意したドナー機種は「iPhone 11 Pro」になります。

もうかれこれ5年半以上前の機種なので、Proモデルとは言えヤフオクなら30,000円前後で手に入ると思うとお買い得な気も。

iOSも次の世代くらいまでは使えそうですしね。

ただ古いことに違いはないので、購入時点でのバッテリー最大容量は65%でした。

Apple公式でも80%を切ったら交換した方が良いと言われているので、かなり使い古されていることが分かります。

使い方にもよりますが、この状態では半日ももたないでしょうからね。

まぁでも多くの人はそうなる前に新しい機種に乗り換えたり、それこそAppleCare+に加入していて無料でバッテリー交換していると思うので、街の修理屋さんや自分での交換を考える人なんていうのはそんなに多くないのかもしれません。

それでも僕はそんなバッテリーを交換するべく、交換用のバッテリーを準備してしまうわけですw

というわけで早速闇市(フリマアプリw)で購入してきた純正バッテリーを用意しました。

当たり前ですが、Appleは純正バッテリーを販売したりしていないので、純正のバッテリーを手に入れるには非正規な方法で入手してくるしかありません

これは街の修理屋さんも同じで、あっちの場合は中古のものを使うわけにはいかないので互換品に交換されることになります。

僕としてはなんとなく純正品が良いかなと思い、少しでも状態の良さそうなものを購入してみましたが、純正品は必ず使われていたiPhoneからパーツ取りされたものなので、出回っているもののほとんどが中古品であり、最大容量が100%のものはほとんどありませんのでご注意ください。

今回のものは何%か分からないものを格安で購入しているので運次第ですw(結果は後ほど)

中国の販売サイトにはiPhoneに使われているものと全く同じ仕様でリンゴマーク以外の印字も同じものが新品で売られていたんですが、さすがにバッテリーは発火とかしたら怖いですし、手を出すのはやめておきました。

そんな交換用のバッテリーはキレイに外されているものはこの通りキレイなので、あとのことを考えて裏面に本体と接着するためのテープを貼っておきましょう。

ものによっては剥がしきれなかったテープが残ってしまっているようなものもよく見かけるので、上から貼ってしまっても大きな問題ではないと思いますが、キレイなものの方が接着具合は安心感があるのかなと。

そのためのテープはECサイトで売っていて、販売者にもよりますが、こちらは恐らく純正で使われているものと同じものを中国から仕入れているものだと思われます。

価格も70円とめちゃくちゃ安くて良かったです。

送料の方が高くなってしまうので、あとから必要になるディスプレイと本体を接着するためのフレームテープも一緒に購入しておくことをおすすめします。

こちらも100円と超良心的!

機種によってはこれらのテープと交換のための工具がセットになったものを販売している場合もあるので、よく調べて購入してください。

作業前の準備としてはバッテリーテープの方をバッテリーに合わせて、ブルーのフィルムを剥がして貼り付けておくだけです。

なぜか右下だけ粘着面の保護シートが残っていたので、そういった場合はそれも剥がして、バッテリーにしっかり接着してください。

また、それぞれ3箇所黒いベロが出ているので、それらをバッテリーに巻き付けるように接着しておきます。

これはこの接着テープを外す際の持ち手になる部分ですね。

あんまり神経質に貼る必要はないので、このように準備しておければ問題ありません。

iPhone 11 Proのバッテリー交換方法

準備もできたところでここから実際にバッテリーを交換していきますが、詳細な手順を全て書くとここから更に長くなってしまうので、詳しくは毎度お世話になっている海外サイトiFixit(アイフィックスイット)をご確認ください。

一応紹介しておくと、会社名の通り主にガジェットの修理情報や修理パーツと工具を販売しているカリフォルニアの企業で、Appleの新製品が出る度にその開け方や交換方法を丁寧に解説してくれているので、毎回とても参考になっているし、これまで何度も紹介させていただきました。

Apple製品であれば全モデル網羅されているので、僕が書くよりよっぽど見やすく分かりやすいですし、iPhoneなら全て日本語にも対応しているので安心です。

iPhone 11 Proのバッテリー交換
https://jp.ifixit.com/Guide/iPhone+11+Pro+バッテリーの交換/127686

なので細かい部分は端折りながら、ポイントとなる部分を補足できればと思います。

ポイント1:バッテリー残量を25%以下に

最初のポイントは交換前に本体バッテリーの残量を25%以下にすることです。

iFixitの解説にも最初に記載されていますが

作業を始める前に、iPhoneのバッテリー残量を25%以下まで放電してください。充電されたリチウムイオンバッテリーは、穴が空いてしまうと引火する恐れや爆発の危険性があります。

ということらしいんですよね。

リチウムバッテリーが発火するなんて話は聞いたことがあると思いますが、そうなったらシャレにならないので、そういった懸念も考えるとやはり自分で交換するのは辞めた方が良いと思います。

バッテリー残量が少ないことでそれがどのくらい防げるものなのか全く分かりませんが、最大バッテリー容量が65%になってしまった機種なら使っているだけでみるみるうちに電池が減っていくので、まずは25%以下まで放電するというのを忘れずにやってください。

これはiPhoneのバッテリー交換の場合、全ての機種において共通です。

ポイント2:iPhoneを温めて開ける

続いて、ようやくここから本格的にバッテリー交換のためにiPhoneを開けていきましょう。

そのためにはまずP2ペンタローブドライバーを用意して、ライトニングコネクタの両脇にあるネジを外します

一般的にはまず使うことはない特殊ネジのため、バッテリー交換のためにわざわざ工具を準備しなくてはいけないのもハードルの1つですよね。

先程のテープやバッテリーを含め、こういったものを買い揃えることを考えたらAppleでバッテリー交換してもらうのとそんなに値段が変わらないかもしれないので、交換前に一度見積もってみた方が良いと思います。

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ちなみにAppleでは以下のページで各モデルのバッテリー交換費用が簡単に見積もれるので、バッテリーや工具を購入する費用と手間を考えて、結局そこそこの費用がかかるのであれば純正バッテリーである価値も高いですし、やはりAppleで交換する方を検討しましょう。(iPhone 11 Proの場合だと14,500円になります)

iPhoneバッテリーの交換
https://support.apple.com/ja-jp/iphone/repair/battery-replacement

また、一応僕が実際に使っているものを上にリンクにも載せましたが、こういった安い工具セットはかなり作りが雑で強度が弱く、いくつかの先端は簡単に潰れてしまったので、本来であればiFixitが販売しているようなしっかりしたものをおすすめします。

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これを買うとAppleでバッテリー交換する金額と変わらなくなってしまいますけどね…w

まぁ安い工具でも焦らず丁寧にやれば先端を潰すこともネジ山がなめてしまうことなく、iPhoneのネジを外すくらいは容易です。

ただし問題はここから!

iFixitの手順ではここでいきなり特殊な専用クランプとiOpenerなる電子レンジで温められる保温バッグが登場して、iPhoneを温めながらクランプで隙間を作ってピックを入れるという解説になっていますが、保温バック付きの全部入りセットは6万円を超えていますからね。。

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その方法ができない人は手順を7に進み、別の方法で温め、吸盤を使って開けることが推奨されているため、多くの人はこちらの方法を選ぶことになるでしょう。

そして温めるために代用で使うのが、どのご家庭にでもあるであろうヘアドライヤーですが、ドライヤーではマジで開きません!

接着剤の固着具合やドライヤーの性能にもよるのかもしれませんが、やはりドライヤーごときでは温度もそこまで高温にはならないように設計されているので、iPhoneにかなり近付けて数分温めようとびくともしませんでしたからね。

あまりに開かなくて、本当に途中で諦めようかと思った程です。。

そこで登場するのがこちら!

所謂ヒートガンというものです。

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以前CPUのリフローをする時に購入したもので、なんと最大600℃まで温度設定可能です。

結局これを150℃に設定してiPhoneの下側に1分以上当てて、吸盤で引っ張るというのを5回くらい繰り返したところ…

ようやく開きました!

吸盤も工具セットに入っていたものですが、持ち手のリングはぐにゃぐにゃになってしまったので途中でカラビナに変えたり、今にも吸盤が根本から千切れそうになりながら、なんとか開いた感じで、結局作業としてはここが最も難関でしたね。

あとは正面から見て右側少し上のケーブルが繋がっている部分のみ注意しながら側面にピックを回し入れていき、ディスプレイを割らないよう慎重に接着剤を剥がしていって、ディスプレイを開ききります。

早く開けようとあまり高温で温めすぎてもディスプレイや内部を壊してしまう可能性があるので、絶妙な温度管理をしながら焦らず作業してください。

ポイント3:ネジの管理に注意

ここまで来ればあとはiFixitの手順の通り進めていけばディプレイが外せ

そのままバッテリーのコネクタやTaptic Engine、フレックスケーブルブラケットも外すことでようやくバッテリーへアクセスする準備が整います。

ここでの注意点はネジの管理で、iFixitを読んでいただければ分かる通り、使われているネジの多くはY000というネジなんですが、その長さが1.3、1.4、1.5、1.9mmと微妙に違うので、どこから何を外したかというのをしっかりと分けて管理するのがおすすめです。

最近は100円ショップにもプラスチックの仕分けケースとかが安く売っているので、そういうのを買っておくのが良いかもしれませんね。

ポイント4:バッテリーテープはキレイに外せない可能性が高い

これで全てのネジを外せたので、ここから大本命であるバッテリーを外します。

そのためには、先程準備のところで付けたバッテリーテープが元々のバッテリーにも付いていてそれで本体と接着されているため、黒いベロの部分を丁寧に剥がし、そこを指かピンセットでつまみ、千切らないように水平方向に引き抜いていくのですが、もう5年半も経っているせいか一瞬で千切れましたw

しかも3箇所とも全部!w

あまりにすぐ切れてしまって写真すら撮れなかったので、ここだけiFixitの画像を引用しますが、本来は以下のように伸びてキレイに取れるんですけどね。

比較的新しいMacBookのバッテリーを交換した時にも同じテープが使われていて、そちらはキレイに取ることができたので、明らかに経年劣化だと思われます。

かと言って粘着性が失われているかというとそうではなく、ここで焦って隙間にスパッジャーを入れて剥がそうとするとバッテリーが変形して思わぬ事故に繋がるかもしれないので、テープが上手く取れなかった人は手順42へ進んでください。

ここで登場するのが「イソプロピルアルコール(IPA)」ですが、IPAは毒性があり口に入ると危ないので、代用として「無水エタノール」がおすすめです。(その分無水エタノールの方が高いですが)

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※無水エタノールも揮発性が高く、アルコール濃度が高いため、取り扱いには充分注意が必要です。特に火気や静電気に注意し、換気や手袋をして使いましょう。

そんな無水エタノールを手順のようにニードルボトルや小さなスポイトに少量取り、千切れたテープ付近のバッテリーの隙間から注入します。

3箇所分入れてから1分程待ってバッテリー動かしてみると、簡単にバッテリーを取り外すことが可能でした。

ただご覧の通りテープ痕はしっかり残ってしまい、これについてはアルコールでこすってもなかなか落ちてくれそうになかったので、僕はある程度やって諦めることに。

ちなみにそれは外したバッテリー側も同様でした。

ポイント5:バッテリーを戻す時は先にコネクタに接続

というわけで、iFixitの手順はここで終わっていて、あとは逆の手順で戻しましょうということになります。

まずは肝心のバッテリーを戻さなくてはいけませんが、ここでポイントとなるのが本体に接着してしまう前にバッテリーケーブルをコネクタに接続し、その状態でいい感じの位置にバッテリーを接着するということです。(下側のL字の上側の2箇所あります)

テープを付けないようにケーブルを接続するのが少し難しいかもしれませんが、なんとなく付けられそうなところに先にバッテリーを置いてしまっても少しは動かせるので、あまり神経質にならず、絶対にコネクタ接続が先とは思わずにやってください。

1つ覚えておくことは、バッテリーの左側には思っているより隙間ができるので、左合わせよりは右合わせで貼り付ける方が良いと思います。

そして無事にバッテリーが固定できたら一度コネクタを外し、手順を遡っていきながらパーツやネジを戻していきましょう。

ポイント6:残っているフレームテープを除去する

上記画像のところまで戻せたら、ディスプレイコネクタを接続する前に、本体とディスプレイを接着するためのフレームテープを付けなければいけません。

初見ではどっちが表か裏か、どっちが上で下なのかも分かりませんでしたが、iPhone 11 Proの場合は下記の状態が正しい向きになります。

そんなテープを貼り付ける前の準備としては、本体側の既に付いているテープの残りを除去することです。

ここでも先程の無水エタノールがあると楽で、細めの綿棒等に染み込ませて擦るとみるみるうちに剥がれてくれます。

外したディスプレイ側にも残っていると思うので、どちらもキレイにしておきましょう。

あとはテープの台紙(フィルム)を取り、本体の周りに沿ってスパッジャー等を使って貼っていくだけ。

おおかたキレイには貼れましたが、僕の場合は上の部分が上手く貼れませんでした。

まぁこの状態で一部が浮いてしまったとしてもディスプレイを付ける時にねじ込めばなんとかなったので大丈夫ですw

モデルによって微妙に仕様が違うものの、iFixitの以下のページにフレームテープの貼り付け手順がまとめられているのでご確認ください。

iPhoneディスプレイ用接着剤の交換
https://jp.ifixit.com/Guide/iPhoneディスプレイ用接着剤の交換/93983

なお、手順13の下の方にサラっと書いてあるように、ディスプレイを接続後、完全に閉じてしまう前にテストで電源を入れ、ディスプレイの点灯やタッチ操作等、機能の確認をお忘れなく。

問題なければ再度電源を落とし、残りの手順の通りフレームテープのフィルムを剥がし、ディスプレイの上側からズレなくはめ込んで最初に外した2本のネジを戻せば…

ポイント7:バッテリー交換後にやること

無事にセルフでのバッテリー交換が完了したiPhone 11 Pro。

電源や操作も問題なく、成功したと言って大丈夫でしょう。

ずっとフロントカメラやFace IDのセンサーが剥き出しの状態で作業していて、途中で触ってしまったりしていたから、そこら辺が反応しなくならないか不安でしたが、今のところ特に変な挙動をしている機能はありません。

そして最後に交換後のポイントがいくつかあるのでまとめておくと

  • フレームテープを安定させるために再びヒートガンで温めて荷重をかける
  • 一度電源を入れて立ち上げたあとに強制再起動をする
  • バッテリーのキャリブレーションを行う

という3つなります。

詳しいやり方はiFixitのフレームテープ交換の最後の方と、強制再起動はAppleのコチラのページと、バッテリーキャリブレーションはiFixitのコチラのページをご参照ください。

やらなかったからといってもの凄く大きな問題があるわけではありませんが、防水性能を高くし、システムバグを未然に防げ、バッテリー表示を正しくするための手順となるので、やっておくと安心です。

さいごに

そういったところで、長きに渡って語ってきたiPhoneのバッテリー交換について、理解を深めていただけたでしょうか?

セルフでのバッテリー交換を考えていた人もこれを見たらきっと思いとどまってくれるに違いありません!(本当か?w)

交換の難易度はどうですかね?

個人的にはディスプレイを開ける最初の部分とバッテリーを本体からキレイに剥がすことができなかったので、機器の個体差もあるとは思いますが、Macをバラして組み立てるより難しいと感じました。

あとは前述もしたように道具のハードルですかね。

ヒートガンから特殊精密ドライバー、そして無水エタノールと、なかなか一般家庭にはないものが必要になるため、たった1台交換したいだけだとパーツ代も含めると安く見積もっても1万円くらいはいくので。(僕はバッテリーを2,500円程で手に入れました)

しかもそれでいて使い古しのバッテリーの可能性が高く、100%の状態にはならないことを考えると、やはり素直にAppleで交換するのが得策な気がします。

ちなみに今回交換したバッテリーの最大容量は80%でした。

元々が65%だったことを考えるとマシにはなりましたが、充電を気にしなくても良いような状態とは言えないので、そういった意味でも微妙です。

なお、以前まではApple以外でバッテリー交換を行うとバッテリーの最大容量が表示されない仕様でしたが、iOS18.1からは表示されるようになったので、そこは嬉しい変化でしたね。(これが確認したくて交換してみたかったのもあります)

※こちらが以前の表示。以前までは表示させるのに特殊な機器と手順が必要でした。

画像にある通り「このiPhoneのバッテリーがApple純正部品なのか確認できません。このバッテリーではバッテリーの状態の情報を利用できません。」という表示は相変わらずですけども。

恐らくこういった変化も修理プログラムに関連した改善なのかなと思います。

というわけで、ここに技適が失効したバッテリー容量80%のなんとも言えないiPhone 11 Proが爆誕して、今回の記事は終わりですw

ぶっちゃけ中古市場にはこういったものが溢れているでしょうし、そうなるともう購入者側からは技適がどうとかは分からないですけどね。

今後は日本も海外と同じように修理プログラムに向けて規制が緩和したり法改正が行われるのか、注目していきたいと思います。

何気にiPhone 16ではEUのおかげ(せい?)でバッテリーの接着に初めて「電気誘導接着剤剥離技術」が採用される等、Appleも各国の法律を鑑みながら試行錯誤しているようなので、そのうちiPhone自体を開けるのも機材さえあれば簡単に行えるようになるかもしれませんし、総務省も是非ユーザー目線に立った施策を考えていただけると嬉しいなと。

もしくは登録修理業者の基準や申請方法を変更するだけでも良いですけどね。

免許制とかにして試験でも設けてくれたら全然取りにいきますし。

現状は個人でも不可能ではない手間と金額で登録できることは分かりましたけど、それで1機種だけ登録してもあまり意味がないのは勿体無いので、どうにかなってくれることを願うばかりです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました!

当サイトではこういった記事の他にもガジェットのレビューや使い方の紹介、その他様々なノウハウをまとめていますので、是非読み漁ってみてください。

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それでは、また次回を楽しみにー!

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